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    『北方水滸伝』から『楊家将』『血涙』そして『楊令伝』へ

      北方謙三氏の歴史小説、『水滸伝』そして『三国志』と続いたわけですが、次に繋がるこれら書籍群を述べなくては彼の小説について語った事にはならないでしょう。

    『三国志』から『水滸伝』へ

      実は私が読んだ順は彼が書いたのとは逆だったんですよ。つまり北方氏は『三国志』を先に書いて、『水滸伝』はその後でした。私には『水滸伝』の方が面白かったので、『三国志』は彼にとっては単なる助走だったのかと思ったものです。すると『北方謙三の水滸伝ノート』でこんな事を述べておられる。

      「そもそも、私が『水滸伝』を自分の小説として書こうと志したのは、それより前に『三国志』を書いた事が大きな契機となったからです。『三国志』を書いた事で、中国の歴史の面白さと深さを知りました。しかし、中国人の本当の心情や思想が私に分かるかというと、それは疑問です。私はあくまで中国の歴史という舞台を借りて、日本人の心情を描こうとしたわけです。そして『三国志』に取り組み、それが終わると、今度はだいぶ時代が下がった宋代の物語であり、私自身が愛読してきた『水滸伝』の世界を描いてみたいたいと思い始めたのです。」

      つまり、北方氏は『水滸伝』の物語に強い興味があったに違いないのです。もちろん従来の『水滸伝』に前々回の記事で触れたように不満もあったし。英雄達が闊歩する物語は、ハードボイルド作家として格好の素材であり、生の人間個性を描くにはうってつけの題材だったのではないのでしょうか。

      そして引き続き書いたのが『楊家将』。『楊』という一族に特別な関心があったようですね。それは日本人やその家族を投影し易かったからかも知れません。

    『水滸伝』から『楊家将』『血涙(新・楊家将)』 そして『楊令伝』

      『水滸伝』に「青面獣・楊志」という人物が出てきます。原典ではあまり大した扱いではなかったが、『北方水滸伝』では結構、重要人物。その顔半分にに青アザが有る事から、「青面獣・楊志(ようし)」として登場してきます。「林冲(りんちゅう)」との戦いが互角の勝負をした事で、その実力の凄さを描いています。官軍にいながら政治の腐敗に心痛めていたので、結局は反乱軍の梁山泊に加担するという存在でした。

      そして、この「楊志」、宋建国の英雄である「楊業(ようぎょう)」の子孫だったんです。「楊業」は歴史上に存在した人物でして、五代十国時代から北宋初期の武人であり、「楊家将」の一代目。「楊」一族は武人の家柄だったんですね。
      北方氏はこの『楊』一族によっぽどの想入れがあったのでしょうね。だから『楊家将』やその続編の物語を描いたのです。

       一方、「楊志」は両親を失い言葉を失った幼子をある村で拾い、自分の子として育てる事にするのです。それが「楊令」。この楊令の成長が、『北方水滸伝』の大きな見所のひとつとなっていきます。そして、『水滸伝』で梁山泊が敗れた後に続く話が、彼を主人公にした『楊令伝』なのです。

       つまり、彼の中国歴史小説は、『三国志』に端を発し、その面白さと深さから、『水滸伝』に。そして英雄の人間を描ききり、その中で出会った武人の筋である「楊家」に傾倒していったのです。ですから、『楊家将』『血涙(新・楊家将)』と続いたのは至極当然でしょうね。さらに、「楊家」の子孫を主人公にした『楊令伝』は『続・水滸伝』として著作されたものなんですが、これは全くのフィクッションで創り上げられた、これなんぞは、まあ、感極まって書いてしまったとでも言えるんじゃないかなあ。
     
       次回は、『楊家将』の内容について述べるとしますか。

    テーマ : 読んだ本の感想等
    ジャンル : 小説・文学

    tag : 北方謙三 楊家将

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    香川秀夫

    Author:香川秀夫
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