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    獣医師の過誤か?

    先日、ヨークシャテリア(11歳・♂)のミッキーちゃんが転院してきました。なにやら他の病院で治療ミスがあったと事。

    詳細をお伺いしてみると、こうです。

    掛かり付けの動物病院で尿道結石の治療中、ペニスの先から入れた管を引き抜く際にそれが切れたらしい。
    全長40cmぐらいの尿道カテーテルの先端部が切れて尿道内に残ったとの事。
    その病院の獣医師はとりあえずの応急処置としてペニス先端から生理食塩水を注入して尿道に残ったカテーテルを膀胱内に送り込んだのです。尿の排出を止めないための緊急処置をされたのでしょう。

    この状況で飼い主さんは私のところへ来られたのです。

    ミッキーちゃんの症状は食欲・元気は全く無く、嘔吐もあってさらに茶色の尿が出ていました。不妊手術をしていないのでりっぱな精巣が残っているのですが、それがパンパンに腫れている。
    常法どうり、レントゲン、エコー、血液の各検査。

    確認できました。レントゲン写真です。
    目的物を確認するためやや露出をオーバーにしています。

    bIMG_0462_convert_20120216220631.jpg


    ペニス内の陰茎骨の下に1個、尾部側に数個の結石がありますでしょ。
    そして、膀胱内には・・・ありますね、確かに。
    膀胱内を一周以上のループになったカテーテルがはっきり写っています。

    はて、カテーテルは膀胱内に全部収まっているのか?
    ペニス内の結石は動かないのか?動くならばどうすれば取り除けるのか?
    陰嚢の腫れは如何に処置するべきか?

    通常ならば
    1.カテーテルを回収するため開腹し膀胱切開。
    2.ペニス内の結石摘出のための尿道切開。
    3.腫れた陰嚢は陰嚢切除・精巣摘出。
    となります。

    しかし、検査の結果、肝腎機能は正常であるものの、ミッキーちゃんは心不全から心肥大を併発しているのでした。
    飼い主さんと相談の結果、まずは彼の負担を軽減するため尿道切開は行わず、可能であれば結石を事前に膀胱内に推送するか、体外に引っ張り出してくるか試してみる事にしたのです。ただ、膀胱内には確認はしたものの、カテーテルが尿道内にどれだけ残っているのかは不明なのでやってみなけりゃ判らない状況だと。

    さて、2日後のオペ。
    結局、1.2.3.の全てを実施しました。

    始めは2.を回避するために結石の移動を目論んだのです。しかし推送用のカテーテルを挿入していくと、結石と尿道壁の間で引っかかり閊えて前後、全く動かなくなってしまったのです。
    ここでハハ~ンと納得。あの獣医師はこの場面で仕方なく引っこ抜いたのでしょう。それで切れた!
    私の場合も同様です。もうこれは切開しかないのでした。

    膀胱からは10cmほどの切れたカテーテルを回収しました。きっちり膀胱内にだけありまして尿の排出の邪魔にはなっていなかったように思います。もっとも、異物なので強烈な膀胱炎は起こしていたのは言ううまでもありません。なお幸いにも膀胱内に結石は無かったのでした。

    尿道切開では直径数mmイガイガの結石を摘出。
    この数mmが曲者!
    尿道結石は普通、陰茎骨にまで流出して来ない。陰茎骨内の尿道は小さいから、大きな結石はその手前で止まるんです。しかし、数mmの結石は陰茎骨内まで侵入した。そして無理に挿入されたカテーテルは陰茎骨とイガイガ結石、尿道壁に挟まれ千切れたのです。

    初めて尿道結石を確認した獣医師は、すぐに切開摘出は考えないでしょう。膀胱内に戻すことを試みるはずです。
    しかし、それが強引過ぎるとこんな事故が起きるのです。まあ、獣医から言うと残念な事ですわ。やってみなけりゃ判らないのですからね。ただ、強引に行くかどうかの判断は其々の獣医師の判断でしょう。

    大事なのは飼い主さんに対してのインフォームドコンセントでしょうね。つっかえた時に強引に処置した時のリスクを伝えておかなけりゃならんでしょう。嫌なら切開ですし、そのリスクも理解していただなくては。

    ミッキーちゃんは心不全のリスクも回避出来、無事手術終了!良かったですね。
    IMG_0457_convert_20120216175822.jpg 

    まだ麻酔が少し残っている状態ですが大丈夫でしょう。
    あとは予後の管理次第ですね。

    回収したカテーテルを決意のこもった声で要求されたのは勿論です。断る理由もありませんから飼い主さんにはお渡ししました。

    いろいろ考えさせる一件でした。明日は我が身かも知れません(汗)

    テーマ : ペットの健康・病気・怪我
    ジャンル : ペット

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    非公開コメント

    小さな身体に、大きな結石。
    人間でも数ミリは大きいのではないでしょうか?
    良い病院で命拾いしましたね!

    Re: タイトルなし

    > 小さな身体に、大きな結石。
    > 人間でも数ミリは大きいのではないでしょうか?
    > 良い病院で命拾いしましたね!

    いやいや、殆どの動物病院ではこれぐらいは出来るんですよ。
    掛かり付け獣医師との信頼関係でしょうかね。

    動物の場合、発見が遅くなるのでどうしても重症になります。
    いかに早く気付いてあげれるのか、飼い主の真価が問われるんですね。

    すごい

    仕事とはいえ 凄いですね
    感動しました

    Re: すごい

    zznecoさん、おはようございます。

    ミッキーちゃんはその後順調に回復しています。
    食欲もあり飼い主さんもお喜びのようですわ。もうすぐ抜糸です\(^o^)/


    No title

    どきどきして読ませていただきました。
    ミッキーちゃんは良いDrに巡り会って命拾いしましたね。
    病気と治療方針についてキチンと説明していただけることが一番大事だと思います。
    動物にもセカンドオピニオンドクターは必要だと思います。
    普段は近くの病院、
    その上にいざという場合のドクターを持っていると心強いです。
    大事なことは人も動物も医者とは信頼関係が必要ですね。

    Re: No title


    「しんちゃん」さん、こんにちは。

    ドキドキでしたか?今となれば正直白状すれば、私もドキドキもんでした(笑)

    ミッキーちゃんは閉塞防止用の留置カテーテルも無事はずし終え、明日は抜糸です。
    なんとか健康が回復しそうで、私も嬉しいのですよ。
    あとは再発せぬよう予防が肝心。

    動物を扱う仕事とはいえ、やはり、飼い主さんとの信頼関係が全てなんですね。
    誤解があったりもしますし、本意が伝わらない人もいます。
    しかし、獣医としても会話力は重要でしてね、なんとか理解しやすい言葉を使ったり。

    ヒトとペットと両方見ながらの職業ですかね。

    また、お出で下さい。
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    プロフィール

    香川秀夫

    Author:香川秀夫
    【年齢】 ウーン、若いつもり・・・
    【性別】 男
    【誕生日】 桜咲く頃
    【趣味・興味】
    テナーサックスを少々、最近はアルトも。
     『長屋ほーんず』に所属
      (サックスだけのビッグバンド)
    音楽(ジャズ・スウィング系)
    古代史(とくに古事記以前)
    読書・映画鑑賞(アクション・SF)
    写真(風景、神社etc)
    天文・ウォーキング
    【嗜好品】
    酒(バーボン・芋焼酎)・珈琲
    パイプスモーキング、
      しかし今や禁煙歴6年
    【Twitter】
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    動物関連: @munavet
    古代関連: @munauetufumi

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