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    『九州ジャズロード』  田代俊一郎 著 (書肆侃侃房・2100円)

    先日訪問した山口市のジャズ喫茶『ポルシェ』、そこでたまたま出会った田代俊一郎さん、近刊の著書『九州ジャズロード』を手に入れました。

    発売元は「書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)」、福岡を拠点に様々な出版を行う出版社です。著者と編集者がお互いに意見を出し合いながら、楽しい本づくりをすすめているとのこと。「本は売れない」の時代に敢えて、「いい本は売りたいし、少しでも多くの人に読んでもらいたい」の思いで、一冊ずつ心をこめて作っていきたいとブログで述べられています。手作り感ムンムンの出版社然としているようですね。

    1106016901.jpg 

    この本、表紙の写真からして雰囲気ありますなあ。
    ページを捲ると黒色の台紙に白い文字の文章が浮かび上がり、
    ジャズ喫茶のそれぞれの写真は裸電球に照らされたような赤くレトロ調の1枚1枚。
    いいじゃないですか。それぞれのマスターの顔が頑固で渋い!
    田代さんと出版社は相当語り合っったんでしょうな。本づくりの楽しさが伝わってきますわ。

    さて、氏は語る、

     九州のジャズ地図には大きな変化があると。いわゆる「ジャズ喫茶」というスタイルが少なくなっている。
     昼間営業ではなく、夜間営業の「ジャズ・バー」が増え、またライブを多く打つ店に姿を変えている。つまり「アルコールを飲ませないとコーヒーだけではやっていけない」「ライブで人を集める」、これはジャズの灯を守っていく自衛手段であるのだ。


    この事は、九州に限った話ではありません。ここ大阪ではすでに最後のジャズ喫茶が3年前に閉店しています。その名は『トップ・シンバル』そしてその名残が 「トップシンバルの伝説」 というブログに掲載されております。大阪ではもはやジャズ喫茶は存在せず、大人の空間程度の「ジャズ・バー」しかないのです。

    さらに氏は言う、

      意外にも店の目減りは少ないと。30年、40年と歳月を刻んでいる店が有る一方で、新規の店が増えているからだ。そんな店は県庁所在地の都市にあるのではなく周辺に広がっている。
      その地図を作っているのは定年退職や早期退職組なのであると。青春時代にジャズに触れ、「いつか店を」の夢をようやく実現した人達なのである。山の中や郊外に家を建て、その中のオーディオルームを一般に開放する様な形だ。自前の店だけに家賃を払う事もない。
      こんな現象から「ジャズは都市の音楽」ではなくなっている。もちろん、老舗のへそ曲がりのマスターにも世代交代の時期でありバトンタッチをしていけるかどうかだが、まだまだ健在であるようだ。
     

    こんな店の空気感を田代氏は「店の匂い」と表現しているのです。

      その「匂い」とはオーディオ装置の豪華さでもなく、レコードコレクションの多さでもない。それはジャズという音楽に魅せられたマスター、ママたち、そしてお客たちが一緒になって醸成した一種の空気感でもあると。
      雑然とはしているが、ジャズを触媒にして誠実や情熱や信頼や愛情などと言った生きる上での粒子が店のどこかに光っているのだ。


    確かに、「トップシンバル」がまさにそんな空気感でした・・・

    この『九州ジャズロード』、昔どこかで見たような既視感を目の前に浮かび上がらせてくれるんですな。この著者と山口で巡り合ったのです。いい旅だったなあ。続編にはこの出会いが記事になるかも知れないという事でした。

    最後に、これらジャズの店にまつわる「見出し」をご紹介しておきましょうか。なかなか意味深ですよ。後は実際に手にとってお読み下さい。
    *******************************************************
    「休みなく半世紀、世に背を向けてカウンターに」 『ジャズ・ストリート52』
    「音の向こう側にある、ぎりぎりの命を聴け」 Jazz Spot『風土』
    「一人から二人へ、二人から三人へ、三人から四人へ」 洋酒Jazz喫茶『ELLE EVANS』
    「都市の中のエアポケットを守る、二人目の番人」 喫茶『ジャブ』
    「ジャズは頭で理解するな。体で感じろ」 Jazz Bar『Browny』
    「じゃず好きは変わっているが、優しい」 『ALFIE』
    「古都をジャズで演出する、優しき演劇人」 Jazz inn『DOLPHY'S』
    「ジャズ好きだった人を好きだった、マスターを・・・」 『Roulette』
    「無駄話をしない、昭和の匂いを残す路地裏の住人」 coffee & music『Eight Modern』
    「ライブは仲間とお客との”セカンド・ミーティング”」 Jazz upstairs at『さろまにあん』
    「あんたは、ライブで泣いたことあるかい」 Jazz Spot『LIFE TIME』
    「人知れず ジャズを肴に 男独り」 JAZZ SPIRITS & FOOD『FAR CRY』
    「コーヒーとジャズは人生の味と同じ、甘くない」 cafe『Down beat』
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    これらは、ほんの一部です。個性豊かなマスター・ママたちの生き様、こだわりの一著ですよ。
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    テーマ : 最近読んだ本
    ジャンル : 本・雑誌

    『北方水滸伝』から『楊家将』『血涙』そして『楊令伝』へ

      北方謙三氏の歴史小説、『水滸伝』そして『三国志』と続いたわけですが、次に繋がるこれら書籍群を述べなくては彼の小説について語った事にはならないでしょう。

    『三国志』から『水滸伝』へ

      実は私が読んだ順は彼が書いたのとは逆だったんですよ。つまり北方氏は『三国志』を先に書いて、『水滸伝』はその後でした。私には『水滸伝』の方が面白かったので、『三国志』は彼にとっては単なる助走だったのかと思ったものです。すると『北方謙三の水滸伝ノート』でこんな事を述べておられる。

      「そもそも、私が『水滸伝』を自分の小説として書こうと志したのは、それより前に『三国志』を書いた事が大きな契機となったからです。『三国志』を書いた事で、中国の歴史の面白さと深さを知りました。しかし、中国人の本当の心情や思想が私に分かるかというと、それは疑問です。私はあくまで中国の歴史という舞台を借りて、日本人の心情を描こうとしたわけです。そして『三国志』に取り組み、それが終わると、今度はだいぶ時代が下がった宋代の物語であり、私自身が愛読してきた『水滸伝』の世界を描いてみたいたいと思い始めたのです。」

      つまり、北方氏は『水滸伝』の物語に強い興味があったに違いないのです。もちろん従来の『水滸伝』に前々回の記事で触れたように不満もあったし。英雄達が闊歩する物語は、ハードボイルド作家として格好の素材であり、生の人間個性を描くにはうってつけの題材だったのではないのでしょうか。

      そして引き続き書いたのが『楊家将』。『楊』という一族に特別な関心があったようですね。それは日本人やその家族を投影し易かったからかも知れません。

    『水滸伝』から『楊家将』『血涙(新・楊家将)』 そして『楊令伝』

      『水滸伝』に「青面獣・楊志」という人物が出てきます。原典ではあまり大した扱いではなかったが、『北方水滸伝』では結構、重要人物。その顔半分にに青アザが有る事から、「青面獣・楊志(ようし)」として登場してきます。「林冲(りんちゅう)」との戦いが互角の勝負をした事で、その実力の凄さを描いています。官軍にいながら政治の腐敗に心痛めていたので、結局は反乱軍の梁山泊に加担するという存在でした。

      そして、この「楊志」、宋建国の英雄である「楊業(ようぎょう)」の子孫だったんです。「楊業」は歴史上に存在した人物でして、五代十国時代から北宋初期の武人であり、「楊家将」の一代目。「楊」一族は武人の家柄だったんですね。
      北方氏はこの『楊』一族によっぽどの想入れがあったのでしょうね。だから『楊家将』やその続編の物語を描いたのです。

       一方、「楊志」は両親を失い言葉を失った幼子をある村で拾い、自分の子として育てる事にするのです。それが「楊令」。この楊令の成長が、『北方水滸伝』の大きな見所のひとつとなっていきます。そして、『水滸伝』で梁山泊が敗れた後に続く話が、彼を主人公にした『楊令伝』なのです。

       つまり、彼の中国歴史小説は、『三国志』に端を発し、その面白さと深さから、『水滸伝』に。そして英雄の人間を描ききり、その中で出会った武人の筋である「楊家」に傾倒していったのです。ですから、『楊家将』『血涙(新・楊家将)』と続いたのは至極当然でしょうね。さらに、「楊家」の子孫を主人公にした『楊令伝』は『続・水滸伝』として著作されたものなんですが、これは全くのフィクッションで創り上げられた、これなんぞは、まあ、感極まって書いてしまったとでも言えるんじゃないかなあ。
     
       次回は、『楊家将』の内容について述べるとしますか。

    テーマ : 読んだ本の感想等
    ジャンル : 小説・文学

    tag : 北方謙三 楊家将

    北方謙三の歴史小説『三国志』

    51K6HS3GXSL__SS500__convert_20110905221324.jpg   『三国志』は、映画「レッド・クリフ」で有名になりました。
      その前は、吉川三国志をそのまま漫画化した横山光輝の漫画『三国志』や人形劇の『人形劇三国志』などが高い評価を受けたそうですね。
     
      昔、中学生のころ吉川英治氏のものを中途半端ながら読んだ記憶がありますが、あまり、心には残っていなかったのです。中国の歴史も興味は無かったし、登場人物の名前が中学生には受け入れにくかったのかも知れません。
      しかし、『北方水滸伝』の虜になった今、全13巻を読破したのですよ。前作同様、期待に違わず、でした。『三国志』はおよそ2000年前に実在した男たちの物語で、『水滸伝』とは趣がだいぶ異なります。


      舞台は、2世紀の末から後漢という統一王朝が衰退して中国各地に群雄が割拠し、やがて魏、呉、蜀という三国分立になって争ったけれども、結局は魏を廃した晋(西晋)が天下を平定するまで、の約百年間。実際の歴史なんです。
      歴史書としてのいわゆる『三国志』は、晋(西晋)が勝者としての正当性を示すために、史官・陳寿(ちゅんじゅ)に編纂させた正史の事。

      しかし、一方、一般に読まれているいわゆる『三国志』は、それではなく羅貫中(らかんちゅう)が書いた『三国志演義』という物語の事なんです。日本では、吉川英治や柴田錬三郎の『三国志』がありますが、この『三国志演義』を比較的忠実に小説化 したものですね。

      ところが、北方謙三の『三国志』は『演義』を完全に無視してるんです。まず、「桃園の契り」の場面が無いのですよ。びっくりでしょ。

      北方氏は『演義』について、こうおっしゃる。

    「劉備が泣くのが許せない(笑)。泣いて気絶するというのが、許せない。箸を落としたとかなら、まだいいんだけれども。よよと泣き崩れて気絶した、とか。あれは、中国の特徴的な誇張表現なんだろうけどね。」(北方三国志別巻『三国志読本』より)

      ハードボイルド作家の真骨頂ですね。毅然としていろ、ってわけですよ。
    事実、正史の『三国志』での劉備は泣くというより、凄くずるく立ち廻っている。徳なんてものは無く、もう奪い尽くすだけ奪い尽くす、とか。

      結局、彼はこの『三国志』を書く時、他の作家のものは一切読まない、それから『演義』も読まない、そうして正史の『三国志』だけを見つめる、と。その「正史」から汲み出される物語を自分の物語にしようと発想された由。

      それで先ほどの、「桃園の契り」。
    『演義』や吉川英治氏の本なんかには出てくる有名なシーンですが、小説としてのリアリズムから言えばリアリティに欠けるとおっしゃる。私も、同じように思った次第だけど、なにか唐突なんですな、あの場面。だから、『北方三国志』には「桃園の契り」は無しですわ。
    いいんじゃないんですかね。私も大賛成ですな。

      まあ、『三国志』は義や徳が書かれているのですが、『北方三国志』は義だけではなく、人が何によって生きていくのか、つまり金、友情、女、野望などいろいろな生き方が描かれています。小説としては、『演義』よりバリエーションがいろいろあって、余程、面白いんです。

      もう一つ、北方氏には思い入れがあるようです。

      彼が最初に書いた歴史小説に南北朝もの、俗に『北方太平記』と呼ばれているそうです。私は読んでいませんが、彼によると
    「天皇について書けば、どちらに肩入れするわけでもないが一抹の書きづらさがあった。それに極端な人物造形もしにくかった。南北朝もので書き切れ無かったものが胸の内にしこりのように残った。そして、王朝とか王朝をたてた人物、王朝を建てようととしたり継ごうとした人物の物語を自由に書ける場所が『三国志』だった」と。

      つまり、『北方三国志』は彼の「帝論(みかどろん)」を書いた小説でもあるということなんです。日本の中に天皇史観と反・天皇史観があって、これを「三国志」の中で重ねたんですね。蜀の天皇史観と魏の反・天皇史観のぶつかり合いがそうですね。

      いずれにしても、北方謙三氏は己の『三国志』をハードボイルド小説だと言っております。

    「『三国志』というのは、結局は男の夢が潰えていく、すべての夢が潰えていく。すべて、誰も勝利しない。誰も勝つことはない。これは、ある意味では滅びというものが、男と同義みたいになって、男というものは滅びの中に生きていく。滅びを夢見て、生きていく小説だ」。と

      事実、勝者であるはずの曹操も死んで彼が建国した魏も滅んでしまいます。誰も勝利しなかった。ただ、ただ、男達の生きざまだけが心に残る、そんな『北方三国志』であるように思います。

      まさに、ハードボイルドなんですね。

    テーマ : 読書感想
    ジャンル : 小説・文学

    tag : 北方三国志

    北方謙三の歴史小説『水滸伝』

     ハードボイルド作家というと、若い頃、大藪春彦を読み漁ったものです。彼は人間の心理を描くというよりも壮絶なバイオレンス・アクション小説を得意としてて、銃やら車がやたら登場するんですな。物語が単純で結構スカッとするんで読み流すには持って来いでした。

    ところが一方で、北方謙三と云う人もテレビには良く出演し、渋い感じのハードボイルド親父感が気にはなっておりました。しかし大藪で堪能していたものだから、彼の著書は手にしなかったのです。

     それから時は流れ、中国の歴史に興味を覚えた頃、人物名が皆、同じようで覚えられない。はて、どうしようかってなった時、登場人物が山のように出てくる『水滸伝』を読んでみようかと。そしてあの北方謙三の『水滸伝』に出会ったのです。

    彼の『水滸伝』は、それぞれの人物が彼独自の解釈でもって個性的に生々しく描かれておるんですよ。名前なんてすぐ覚えられました、字名まであったにも拘らず。

    51NHYAeq8kL__SS500__convert_20110906100650.jpg 「水滸伝」は伝奇歴史小説の大作、「中国四大奇書」の一つで、北宋末期の汚職官吏や不正がはびこる世の中、それぞれの事情を持った英雄が梁山泊という要塞に集まり、宋に反旗を翻すという話です。

     もっとも「水滸伝」は実話ではありませんが、歴史書『宋史』には、徽宗期の12世紀初めに宋江を首領とする三十六人が実在の梁山泊の近辺で反乱を起こしたことが記録されているそうです。

     これを元に、いわゆる「北方水滸伝」が全19巻に別巻2冊の超大作に書き上げられました。原典はたくさんの伝承・伝説・民話のようなものを寄せ集めて物語が出来上がっています。これは一人の作者が書いたものではないからで、時制が統一されていないのです。だから小説としては物足りない、と北方謙三氏は言っています。

     さらに、原典「水滸伝」が物足りない最大の理由、それはそれまで叛徒・賊軍であったはずの梁山泊の面々が、敵対していた宋に降伏し赦されて官軍になってしまう。つまり、彼らには「叛乱の意志」が貫かれていないのです。ここが原典の最大の欠点、カルタシスを欠くとおっしゃる。ハードボイルド作家としては許せないところなのでしょうね。

     ところでキューバ革命、「革命を志す一部隊が、夜中、密かにキューバ島に上陸し、ジャングルの中に拠点を築いて革命政権を樹立した」という。北方氏はこのキューバ革命を意識しながら「水滸伝」を書いたと、『北方謙三の水滸伝ノート』で言っています。つまり、「北方水滸伝」は革命的な英雄・豪傑達の姿をそれぞれ、生き生きとして描いたものなんですね。

     年齢を重ねての初めて読む水滸伝は、恥ずかしながら血沸き肉躍るほど面白いかったですわ。108人の「魔星の生まれ変わり」が登場する。毎回、飽きない。一挙に、北方謙三氏のファンになってしまいました。


    そのうち『北方三国志』、『楊家将』、『血涙』、『楊令伝』など書き連ねたいと思っています。今日はこの辺で。



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    tag : 北方謙三 水滸伝

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    プロフィール

    香川秀夫

    Author:香川秀夫
    【年齢】 ウーン、若いつもり・・・
    【性別】 男
    【誕生日】 桜咲く頃
    【趣味・興味】
    テナーサックスを少々、最近はアルトも。
     『長屋ほーんず』に所属
      (サックスだけのビッグバンド)
    音楽(ジャズ・スウィング系)
    古代史(とくに古事記以前)
    読書・映画鑑賞(アクション・SF)
    写真(風景、神社etc)
    天文・ウォーキング
    【嗜好品】
    酒(バーボン・芋焼酎)・珈琲
    パイプスモーキング、
      しかし今や禁煙歴6年
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